4.
ひろくんは、一人で 草むらの中にいます。
たぶん、いつもみんなといっしょに あそんでいた木があります。
たぶん、いつもみんなといっしょに スキーをしていた坂もあります。
でも、そこにはだれもいません。
あの山のてっぺんから この草むらにもどるまで、ひろくんは みんなを さがしました。
でも、だれとも会いませんでした。
ひろくんは気付きませんでした。
もどってくる とちゅうにふんでしまった枝が、友だちが付けていた うでだったことに。
あちこちに おちていたバケツが、友だちが かぶっていた ぼうしだったことに。
そして…
みんなが 溶けてしまったことに。
「きっとこれが、いいことなんだ。」
雪が溶けることを知らないひろくんは、なんにちも なんにちも みんなを さがしました。
ぜったいに見つけることのできないかくれんぼ。
そうとは知らないひろくんは、毎日あたりをさがしました。
あるときは、雪がなくなって ちくちくする木にのぼって、はっぱをかき分けました。
でも、そこにはだれもいません。
あるときは、雪がなくなって こおらなくなった川にもぐりました。
でも、そこにもだれもいません。
あるときは、もういちどあの山のてっぺんに行って、山のはんたいがわも見てみました。
でも、そこからもだれも見えません。
ひろくんは、毎日 あたりをさがしました。
きみどりだった草むらが…
みどりになり…
赤や茶色になっても…。