3.




朝。

大きな黒い鳥と やくそくをした朝。


雪だるまたちは いつもの ひろばに あつまり、いっせいに スタートしました。


雪だるまのひろくんは、彼を作ってくれたひろくんがとても ていねいに作ってくれていたので、とても はやく走ることが出来ました。

うでに大きな枝をつけている雪だるまや、ずれてしまったあたまを 手で おさえないと走れない雪だるまたちを、どんどん ぬいていきました。



たくさん走りました。

もう お日さまが しずみそうです。

でも、あの山のてっぺんは まだまだ とおくにあります。

いつもなら ねむくなる じかんなのに、その日のひろくんも みんなも ぜんぜん ねむくなりませんでした。

あそんでも つかれない、走っても つかれない雪だるまたちは、夜になっても走りつづけました。




つぎの朝。

そのつぎの朝。


何日 たったでしょうか。


ようやく、ひろくんはあの山のてっぺんに ちかづくことが出来ました。

おひるくらいには、ゴールできそうです。


「このままゴールしたら、ぼくが いちばんかな」


「いいことってなんだろう?楽しみだな〜!」


ゴールが ちかづくにつれ、ひろくんは いいことを かんがえて うれしくなりました。


そんなひろくんは、気付くはずもありませんでした。


日が たつにつれ、ひろくんの まわりから、雪だるまが走るときの「きゅっきゅ きゅっきゅ」という音が小さくなっていくことに。


「ひろくんには まけないぞ」と言って きょうそうしていた いちばんのなかよし雪だるまが、いつまでたっても おいついてこないことに。


3日まえに 1ばんだった雪だるまを おいぬいてから、ずっと1人で走っていることに。


そして…


自分が走っている雪が、日に日に すべるようになっていることに。




ちょうどお日さまが まうえに見えるころ、ひろくんはあの山のてっぺんに つきました。

いいことを たのしみにしていたせいか、まったく つかれていません。


「いいことってなんだろうな〜」


しかし、いつまでたっても 何もおこりません。


「そういえば、だれが いいことを 起こしてくれるのかな?あの鳥かな?みんなかな?」


しかし、さいしょにゴールしたひろくんには、だれもおしえてくれません。


「みんな おそいな〜。はやく来ないかな〜。」


しかし…


いつまでたっても、2ばんめの 雪だるまはゴールしません。


「いくらぼくが足が はやいからって、みんな おそいよ〜。」


そう言って ふりかえったひろくんの あしもとには…




見たことのない、黄緑色をした そうげんが 広がっていました。