15.




ばさっばさっ ばさっばさっ


まわりが赤や茶色になったころ、大きな黒い鳥が あの山のてっぺんに とんで来ました。


【………】


てっぺんにすわって、何かを見上げ…


【50…60…70…うん、今年はたくさんだね。】


何かを かぞえて…


ばさっばさっ ばさっばさっ


とびさって いきました。




赤いはっぱが すべて おちたころ。

あの山のてっぺんでは、まわりより 少しはやく 雪がふります。

すると…。


ころころ ころころ


てっぺんから、何かが ころがって来ます。


それは、ひろばまで あちこちに ころがって 止まりました。


そして、少しずつ ふりはじめた雪に かくされ、つもって行く雪の中へ…。



そして、あたり いちめん まっ白になった ころ。

大きな黒い鳥が、雪だるまをのせて やってきます。


たくさんの雪だるまを せなかから おろし、

さいごの かけっこの やくそくをして、

今までなら、とびたつはずの鳥。


でも今は、もう一言 言うことが ふえました。


【このひろばには、70この たからものが うまっています。】

【1人1こ、がんばって さがして みてね!】


そう言って、大きくて黒い鳥は とびたって行きました



朝。

雪だるまたちは、ひろばの雪を ほりはじめました。


はやい雪だるまは、その日のうちに。

おそい雪だるまは、いつまでたっても 見つけられず。


はやく見つけた雪だるまは、みんなのまえで うれしそうに。

おそくまで見つけられない雪だるまは、そんなみんなを うらやましそうに 見ながら さがして。


はやく見つけた雪だるまは、見つけた雪だるま どうしで あそびはじめ。

おそくまで見つけられない雪だるまは、いつか見つけられることを しんじて さがしつづけ。


はやく見つけた雪だるまは、そのうち みんなといっしょに さがしはじめ。

おそくまで見つけられない雪だるまは、いつしか みんなといっしょに さがしはじめ。



気がつくと、さいごの1こが見つかるまで、みんなで さがすようになりました。

いっしょうけんめいに。

でも、みんな たのしそうに。



山の下の方の雪が溶けはじめたころ、さいごの1こが見つかりました。


ぶじに ぜんぶ見つかって、おおよろこびの雪だるまたち。

そして…


うれしそうに、


ちょっと あんしんした かおの 雪だるまは、


きれいなオレンジ色の木の実を、たべはじめました。


ちょっとだけ、口のまわりを オレンジ色にしながら。



朝。


みんな、ひろばに あつまっています。

みんなは、少しとおくを 見上げています。


みんなで、やくそくを はたす ときが来ました。



走り出す雪だるまたち。

その 雪だるまたちの さきには…


きらきら光る、あの山のてっぺん。


そして、


あの山のてっぺんで、


さむさに まけずに 立っている、


2本の木。



じゅんくんのバケツを枝に ひっかけた、


ひろくんが のこした たねから うまれた、2本の柿の木。



黄緑色の きせつには、きれいな はっぱを 付けはじめ。


緑の きせつには、大きな はっぱを わっさわっさと 大きくひろげ。


赤や茶色の きせつには、きれいな花を たくさん さかせ。


おいしい 柿の実ができると、ゆっくりと ていねいに おとして。


まっ白な きせつには、雪だるまたちを とおくから みまもって。




だれもいない きせつにも、いつか きっとやってくる 雪だるまのため。


2本の柿の木は、まいとし まいとし 柿の実を作ります。


雪だるまたちが、すぐにあそべる ように。


雪だるまたちが、みんないっしょに あそべるように。




山のてっぺんに立っている、2本の柿の木は、


がんばって 走っている雪だるまたちを、山のてっぺんから 見まもっています。


そして。


さいごまで 走っていた雪だるまが溶けはじめたとき、


2本の柿の木は、少しだけ ゆらゆらと ゆれて、


1まいずつ、きれいな はっぱを つけました。




まるで、走っていた雪だるまたちを「よく がんばったね」と ほめるように。


まるで、まっ白な きせつに やってくる雪だるまたちに「まっているよ」と よびかけるように。



今日も、2本の柿の木は、ゆらゆらと ゆれています。






おわり。