13.
てっぺんに ついた ひろくん。
そして。
少しずつ溶けはじめた じゅんくん。
<…あれ?何だか うまく…立てないや。>
ひろくんは、何も言えませんでした。
<…どうしたの?ひろくん。>
それでも、じゅんくんは きいてきます。
ひろくんは、かなしい気持ちをかくして、話し はじめました。
「じゅんくんはね。溶けはじめて いるんだよ。」
<溶ける?>
「そう。下を見て?今まであった雪が、ぜんぶ なくなっちゃってるでしょ?」
<…ほんとうだ。>
「ひろばで みんないっしょにスタートしたのに、だれも いないでしょ?」
<…うん。>
「それが、溶けるっていうこと らしいんだ。」
<…ってことは、これが、まえに ひろくんが言っていた お別れ なの?>
「…うん。」
<じゃぁ、みんなとは もう会えないの?>
「黒い鳥が【ここに ずっといたら雪だるまだらけになっちゃうから、今は べつのところにいる】って言ってたんだ。」
<じゃぁ、すぐにみんなに会えるんだね。>
「…うん。そうだね。」
<…あれ?でも、ひろくんは「一人でいる」って言っていたよね?>
「…うん。」
<それに…ひろくんは、溶けていないよ?>
「…うん。」
<…なんで?>
「ぼくの雪が(みんなと お別れしたくない)って。だから、溶けてくれないんだ。」
<そう…なんだ。>
「…」
<…つらい?>
「…うん。」
<……さびしい?>
「……うん。」
<ひろくん、ぼくたちといっしょにいて さびしかった?>
「…さびしくなかった。」
<たのしかった?>
「…たのしかった。」
<ぼくはね…ちょっとだけ、こうかいして いるんだ。>
「…こうかい?」
<ひろくんと会ったあの森、あそこに入ったこと、ぼくは なかったでしょ?>
「…うん。」
<ぼくも入ってみたかったな〜って、ね。>
「…」
<でも、森に入っても、こんどは べつのばしょで あそびたくなるんだろうね…。>
「…そうかもね。」
<ひろくんも…さ。溶けられないのなら、これから来る雪だるまに おしえてあげて くれないかな。>
「…何を?」
<こうかいしない あそび方を。>
「…」
<そうしたらさ。ひろくんも たのしくあそべるでしょ?>
「…うん。」
<ひろくんといっしょに あそべなくなるのは ざんねんだけど…>
「…」
<ぼくが あそびきれなかった ぶん、ひろくんに あそんでほしいんだ。>
「…分かったよ。」
<いつかまた、会えるかもしれないからさ。そのときに、あたらしいあそびを おしえてね。>
「…うん。」
こうして。
ひろくんの ひとりぼっちの生活は、ふたたび はじまりました。
でも。
ひろくんは、とても元気です。
今まで いっしょに あそんできた雪だるまたちに、たのしい お話が できるように。
これから会う雪だるまたちに、たのしい おもいでを作ってもらえるように。
これからは、ひろくんが みんなのためにすることが たくさんあるのだから。