11.




ひろばの上は、とてもきれいな青空。

そして、ふもとの町の上には灰色の雲。

ひろばから見える町や森をまっ白にしている、雪を ふらしています。


1年まえと おなじなら、今日の夜に黒い鳥が雪だるまたちを つれてくるでしょう。


でも…

ひろくんは、去年のように うれしい気持ちには なれませんでした。


はじめて みんなと あそんだときは、毎日が たのしくて。


去年は、1人で あそぶのに あきてきたから うれしくて。


でも今は、いつかまた1人ぼっちになってしまうことが かなしくて…。



朝。

ひろばに あつまる雪だるまたちの中に、ひろくんは いませんでした。


ひろくんは、ひろばの下にある森で くらすことに しました。


「みんなと いっしょに あそぶと、お別れするときに つらくなるから…」


ほかの雪だるまたちから かくれるように、ひっそりと…。



雪がつもった森の中は はじめてなので、さいしょは たのしかった ひろくん。


でも、どこまで歩いても まっ白なだけの森。

すぐに、行くところが なくなってしまいました。


しかたなく、森の入り口に もどってきたひろくん。

すると、森の上にあるひろばから、みんなの たのしそうな声が聞こえてきました。


今までは、たのしかったその声が、今は心を ずきずきさせます。


「やっぱり ここは…」


そう言って ふたたび森に入ろうとした ひろくん。


…そのとき。


<うわ〜!>

どさっ!


一つの雪だるまが おちてきました。



<いたたたた…>

「…?」

<…あれ?こんなところにも雪だるまが いたんだ。>

「…」

<あ!ごめんね。はじめまして。>

「…はじめまして。」

<ぼく、じゅんって いうんだ。きみは?>

「…ひろ。」

<よろしくね!>

「…よろしく。」


できれば ほかの雪だるまと会いたくなかった ひろくんには、じゅんくんの げんきは 見ていて つらくなるものでした。


「…さかみちから おちちゃったの?」

<う〜ん、そうなんだよ。みっともないよね。>

「じゃぁ、かえりみち。おしえるよ。」

<ほんとう!?ありがとう!>


すぐに一人になりたいひろくんは、じゅんくんを ひろばに行ける みちまで あんないしました。

「ここをまっすぐいけば、すぐに ひろばにつくよ。」

<ありがとう!でも…>

「…何?」

<ひろくんは行かないの?>

「ぼくは…森に かえる。」

<何で!?みんなといっしょに あそぼうよ!>


「…ぼくは…できれば一人で いたいんだ。」

<どうして?>

「だって、たのしくあそんじゃうと、お別れするときが いやでしょ?」

<お別れ?って なに?>

「…きみを作ってくれた人がいたでしょ?」

<うん。>

「その人、じゅんくんが ここに来ちゃったから もう会えないでしょ?」

<うん。>

「それがお別れ。ひろばのみんなとも、いつか お別れしないと いけなくなるから…」

<うん…。>

「たのしく あそべば あそぶほど、お別れするときが つらいから…だからぼくは、一人でいたいんだ。」

<そっか…。>

「じゃぁ、ぼくは かえるね。」

<ねぇ、ひろくん。>

「…なに?」

<ひろくんは、一人でいるのって たのしい?>

「そんなわけ…ないよ。」

<だよね。じゃぁ、もし今度、ひろくんが今まで いっしょに あそんでいた人とか雪だるまと会えたとして…>

「…」

<その雪だるまたちが、ひろくんがいなくて ずっとさびしそうに ごろごろしていたら…ひろくん、会いづらくない?>

「…会いづらい。」

<多分、ひろくんが今まで いっしょだった雪だるまも、今は おんなじ気持ちじゃないかな?>

「…」

<どうせ、あしたも あさっても あるんだからさ!みんなと いっしょに あそべるときは、たのしく あそんじゃおうよ!>

「…」

<でさ!こんど その雪だるまたちに会ったときに、今あそんでいたこととかを お話すれば、それも たのしいでしょ!>

「…」

<…だめかな?>


「…」


<…>


「……」


<……>


「………そうだね。」

<でしょ!!>

「うん。みんなも さびしがってるだろうから…。こんど会ったときは、ぼくが あかるく話せないとね!」

<そうそう!>

「よ〜し!じゃぁ さっそく!」


ぽすっぽすっ ぽすっぽすっ


<! まってよ〜!ぼくは、みち知らないんだから!!>


ぽすっぽすっ ぽすっぽすっ



それからは毎日、ひろくんは ひろばで あそぶようになりました。

木にのぼったり、ひろばを走り回ったり。

たのしく あそんでいるようでした。


でも…。


実は、ひろくん。

ただ みんなと、あそんでいるだけでは ありませんでした。

こっそりと、みんなの足が はやくなるように、まいにち 走りまわっていました。


もしかしたら、


ひろくんのように、


雪が溶けるより はやく、あの山のてっぺんにゴールしてくれるかも しれないから。


そうすれば、ひろくんの雪のように、がんばれば溶けないように なるかもしれないから…。