“ゆきだるま〜”ができるまで
このお話が初めて思い浮かんだのは、私が中学校1年生の頃でした。
私より年上の方は覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、
平成6〜7年頃の当時、毎日のように学生が自ら命を絶つというニュースが報道されていました。
それこそ
「今日は高校生が…」
「今日は中学生が…」
「昨日はついに小学生まで…」
といったくらいに。
そんな折、当時の担任の先生が道徳の授業でいじめの問題を取り上げました。
週に1時間の授業枠で、内容は3部構成で。
1時間目:いじめられた子達の遺書を通して
2時間目:いじめた子達の裁判を通して
3時間目:子どもを失った遺族の手記を通して
それぞれの時間に新聞や本を引用して、それぞれの気持ちを考える。というものでした。
そして、それぞれの授業後に感想を書いて提出します。
話はさかのぼりますが…
小学生の頃、私の周りにもいじめはありました。
自分では、その子にちょっかいを出された時だけ返した程度のつもりでしたが、
「いじめられていた子からすれば自分もいじめた側に見えたかもしれない」と(後になって)思える行動を、取ってしまっていました。
その子が登校拒否を起こした時、小学校の先生は学級会を開きました(当時はまだ、登校拒否が珍しい時代でした)。
その時先生から出てきた話は…
先生「みんながしてきた事を、みんながされたらどう思うか」
自分たち「嫌です」
先生「嫌だと分かっててするのかい?」
自分たち「…」
先生「あの子が来た時、みんなはどうするべきかな?」
自分たち「謝るべきだと思います」
というわけで、なぜかその子と接点すらなかった子達まで一緒に、クラスメイト全員で謝りました。
今でもその対応に思うところもありますが、それはまた別の機会に。
ここで触れたいのは、
小学校の担任の先生は“してしまったことをどうするか”という話をした。
中学校の担任の先生は“したことの先に何があるのか”という話をした。
そんな違いです。
もし、小学校の担任の先生の話だけで終わっていたら。
いじめられた子の気持ちを後付けで推し量る事はできても、その行いの先にある可能性を考えられない人間になっていたでしょう。
いじめられる辛さも。
意識してでも無意識でも、相手の人生を壊してしまった後の後悔も。
不意にとても大切なものを奪われた心の空洞と悔しさも。
そういったことが考えられない人間に。
ニュースで事件を聞いた日に「かわいそうに」としか考えられない、そんな人間になっていたでしょう。
中学校の先生は、そんな自分に“悔いを残す辛さ”“一生後悔し続ける辛さ”“一人残される辛さ”を教えてくれました。
やり方に対しては賛否共にあると思いますが、自分はその授業を受けて良かったと思います。
話が逸れましたが(基本的に脱線好きです)きっかけの話に戻ります。
当時、そんな気持ちを いつもの感想文には収めることができませんでした。
作文は好きではないから ちゃちゃっと終わらせる程度の自分は、気持ちをうまく文章に乗せる事もできません。
無責任なもやもやだけが広がって、もどかしいまま夜になりました。
もどかしすぎて、人生初の徹夜です。
明け方。
提出期限は翌週だった事に今さら気付き(そんな人間です)あきらめて寝ようとした時。
すごく眠いのに、いつもの習慣で翌日(すでに当日)の持ち物の準備を始める自分。
すると、自宅の鍵を落としました。
それについている、友人から旅行のお土産としてもらったキーホルダー。
それについている、スキー板をつけた雪だるま。
それを見た時「授業で感じた“遺族の喪失感”を“初めて作った雪だるまが解けてしまった時の気持ち”に置き換えられないか」と思いました。
(今思えば相当失礼な話ですが、お許し下さい。)
寝る前に思いついてしまいましたが、なにぶん寝不足に弱い子だったのでメモだけ作って寝ました。(その程度のやる気です)
そして週末。
「たかだか作文で…」と呆れる友人の誘いを全て断り、机に向かってお話を作り出しました。(それ位のやる気です)
そして出来たお話は“喪失感”だけがテーマだったので、今とはかなり違う内容でした。
・ひろくんが雪だるまを作って
・翌朝見に行ったら 動き出していて
・その雪だるまと遊んで
・昼になったら溶け出して
・溶けることを知らないから驚いて
・雪をかき集めて修理を始めて
・でもその雪すら溶け出して
・泣きながらお別れ
ひろくんは救われません。
一切救われません。
小さい男の子が悲しむだけ悲しんで終わるという、とんでもないストーリーです。
もちろん、オチも教訓もありません。
という、とても暗いきっかけで、このお話は生まれました。
※当時の担任の先生(よりによって国語科の先生)がどう評価したかは分かりません。
分かりませんが、先生を「どう評価しようか…」と、困らせてしまった事だけは確かだと思います。
今さらですが…
ごめんなさい、じゅん先生(じゅんくんの由来です)。
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